光センサー選果の仕組み

のま果樹園の選果設備は、外観計測センサー(AIビジョン)と、内部品質センサー(IQセンサー)という2つのコンピューターが搭載され、それぞれ外観品質(色・傷・病気・サイズ)と、味品質(糖度・酸度・浮き皮・す上がり)を管理するように設計されています。

これらをパソコン上で設定することによって、どのような品質にでもムラがなく統一的に選別できるものです。

1.外観計測センサー(AIビジョン)

◆装置の仕様

能力は 1秒あたり5個のみかんを処理します。
計測視野 みかんを360度全ての方向から撮影し傷などを判別します。
分解能 0.5 mm×0.5 mm角の細かさで色解像します。
色調分解能 色相(色合い)・明度(明るさ)・彩度(鮮やかさ)を各々256階調に分解します。
計測項目 面積・等価円径・最大径・最小径・腰高・色値・特色面積(未着色値等)・傷害面積・微小傷・(黒点病)数 など
外観計測センサー(AIビジョン)

青果物専用に開発した高品位カメラにより、0.5mm×0.5 mmで撮影分解析します。(従来機種は1mm×1mm)
照明の明暗に左右されない鮮明な画像解析ができます。これにより微小傷(黒点病)の検出が可能になると共に、照明ランプのトラブルに左右されない安定計測が実現できます。

外観計測センサー(AIビジョン)
外観計測センサー(AIビジョン)

上の画像をコンピュータで処理したのが下にある画像です。
果実の正常な色以外の色を傷害として検出します。画像上の色の意味は以下の通りです。

オレンジ 傷・傷害
ヘタ
グレー 微小傷(黒点など微小な傷)

正常な色以外の色が、総面積の何%あるかで等級(品質)の判断をします。
この、撮影→画像処理→等級判定の一連の処理を一瞬のうちにしてしまいます。

2.内部品質センサー(IQセンサー)

◆システムの概要
この装置は、果実赤道部にライトで光(近赤外線)を照射し、果実内を透過してきた光をセンサーで検出することにより糖度や酸度などの内部品質を測定します。

※下の画像では、左側に「ライト」、右側に「センサー」があります。

内部品質センサー(IQセンサー)
内部品質センサー(IQセンサー)
<測定の手順>
  1. 事前に、みかんのサンプル(1品種につき200〜1000個)を内部品質センサー(IQセンサー)に流し、光の波長データを取得します。
  2. サンプルの果実を切断し、汁を搾って糖度・酸度を測定します。(実測値)
  3. サンプル取りした波長データに汁を搾って測定した値を入力しコンピュータに覚えさせます。
  4. 搾って計った実測値と、光の波長データを照合することによって内部品質センサー(IQセンサー)に流れてきた果実の糖度・酸度を推定することができるようになります。
みかんが光の中を通ったときに、「あ、これは前に糖度○度・酸度○度と教えられた波長だ!」と、コンピュータが判断し糖度・酸度などを1個1個推定するわけです。